人を推すこと

 

 

ここ数日でいくつか入ってきたニュースにより、わたしは人を推し注目し応援していくことのままならなさをめちゃめちゃ感じていた。

 

具体的にいうとひとつはMCU作品「ガーディアンズオブザギャラクシー」シリーズで主役のスターロードを演じたりしているクリスプラットのSNS投稿の炎上。かねてから反同性愛を教義に含む宗教を信仰していたり、ハンティングの動画を上げていたり、ん?と思うことがちらほらあった。今回は妻に対する感謝のメッセージの投稿で「美しく健康な娘もくれた」という文章を書いていたんだけど、あんた前の奥さんとの間に障害のある息子生まれてるやん、それ覚えてて書いてる?という違和感がまた一つ積み重なり、これはメインのファン層として捉えられている中にわたしは入ってないかな…という落胆があった。

 

もうひとつは「きのう何食べた?」劇場版に際してのインタビュー内の内野聖陽の発言だ。ドラマ版のクランクアップ時にも共演の西島秀俊さんに対し「先に男に戻るわ」という発言があったと分かり批判が起きていたけど、今回もインタビューにて「オスにしかできない表現を今までやってきたけど今回は必要ないとされて演技に対する捉え方が変わった」というような発言などをしていて、シスジェンダーのゲイを演じるってことが分かってるのかな?と演者だけでなく作品制作スタッフにも違和感があった。

 

何となく続いてしまったので、まあ簡単にいうと「がっかりするなら初めから応援なんてしなければよかったかしら?」と少し挫けてしまったのだ。

 

一度の過ち、という擁護もあるかも知れない。ひとつ言葉の選び方を間違っただけ…しかしわたしは人間「全く思ってもいないこと」というのはなかなか口から出ることはないんじゃないかと思っている。他の行いがいくら良く見えてもどうしてもその間違えた言葉が剥がれたメッキに見えてしまう。

また「作者と作品/演者と役は別物」という擁護もあるだろう。これについてもわたしは懐疑的で、同一のものでは無いけれど分かちがたく結びついたものだと思う。

だって本当に関係なかったらさ〜役を演じた人間にけっこう失礼じゃない?誰でもいいって言ってる様なもんじゃん。

 

 

いやほんと大前提として、役から得た印象を俳優本人に過度に当てはめたりそのイメージに沿う様な言動を勝手に期待するのはそりゃ行き過ぎているだろう。

そして完璧な人間はいない。それも分かってる。人は間違う。でも間違ったら謝って正すしかない。差別は誰だってしてしまい得るものだし。その中でそれでも「より善くあろう」と頑張っている人をこそわたしは応援したい。

 

正味な話、わたしはこれから何食べの劇場版は観る気しないし、MCUについては作品を人質に取られてる様なもんだから観るけど彼の顔を見ればどうしても彼本人の投稿のことを思い出してしまって以前と同じお茶目で愉快なスターロードには見ることはできない。

 

これから同じ様なことがまた起きるかもしれない。

大好きな俳優がもしかしたらめちゃめちゃダメなことをするかも知れない。

大好きな作品が無理解な手で弄ばれたりするかも知れない。

じゃあさ〜〜〜最初から少し心の距離を取ってフィクションをフィクションとしてだけ楽しむように心がけるしかないかな

応援とか情報を追いかけたりとかあんまりしない方がいいかな

 

 

 

 

でも昨日MCUの最新作、クロエジャオ監督の「エターナルズ」を観た。

観た後TLに流れてきたいくつかのインタビューでは、どういう風に演じようか?と監督に聞いたら「まずあなたがどういう人か教えて」と言われた、そんな話が繰り返し出ていた。確かに役者自身の人となりを汲んで役に生かしてあったと思う。

 

作品を見てこれらの記事を読んですごく嬉しくなってしまった。思い出したんだよ〜〜〜わたしはこの作用が好きなんだよ。その作者演者が考え解釈し表現してこの世に生み出されたのがその作品や役であり、作者演者とそれに触れた観客がお互いにフィードバックしあって発展していくのを見るのが好きなんだよ。それが楽しいんじゃん。誰でもいいわけないだろこの人がやってるこの役をわたしは好きになったんだよ。そしてフィクションは現実にも良くも悪くもガンガン影響を与える。今回ゲイや聴覚障害精神障害のヒーローが出てきたことは同じ属性の人を確かに勇気付けるし「誰もがヒーローになれる」という言葉にもより説得力を増す。多様な人種が作品に出てくることも「人は元々多様」という当たり前のことを思い出させる。あー分かんなくなってきちゃった、だから今のところわたしに思いつくできることとしては、好きな相手が何かあかんことをした時、反射で擁護してしまわずにきちんと批判的に見られるよう心構えをしておくことくらい。だけど頑張ろうね。心を強く持ってフィクションを出来る限り楽しもう。